FPコラム

日本FP協会が認定するファイナンシャル・プランナーの上級資格をもったCFP®認定者が、くらしとお金に関する社会保障制度や税制の解説から、生活の中で見つけたちょっとしたアイデアまで、みなさまのファイナンシャル・プランニングを考える際のきっかけ作りとなるような情報をファイナンシャル・プランナーの幅広い視野で取り上げ、月1~2回お送りしています。

最新号
2024年4月号(1)
資産運用
CFP®認定者 亀谷 さおり

今だから考えるゴールベース資産管理

 新年度や新学期の季節を迎え、これを機に新たな目標を設定する人も多いと思います。夢や目標を実現し、理想のライフスタイルを築き上げていくためには、お金の面からも考える必要があります。資産を上手に管理しながら、計画的に資産形成をしていきたいですね。そこで今回は、資産形成の在り方として注目を集めているゴールベース資産管理に焦点を当て、その重要性や取り組み方について解説します。

ゴールベース資産管理とは

 ゴールとは、将来の夢や目標、ライフイベントなどのことです。その実現に向けて、資金計画を練り、上手に管理しながら実行していくことがゴールベース資産管理です。単なる貯蓄ではなく、ゴール達成のための必要資金を明確にし、ゴールから逆算して資産管理や運用を丁寧に行うことがポイントです。まずは、理想の住まいや子どもの教育費、セカンドライフの充実など、ライフプランを明確にすることが夢の実現への第一歩となります。

ゴールベース資産管理の手順

 ゴールベース資産管理の手順を詳しく見ていきましょう。

1.

ゴールの設定
実現したい将来の夢や目標などを具体的に決め、時期を設定します。

2.

資金計画の立案
ゴールを実現するにはいくら資金が必要なのか、情報収集をして明確にします。

3.

資産形成方法の選定
いつまでに、いくら必要かを把握できたらこれらをベースに、適切な金融商品を選定します。

4.

定期的な確認と見直し
資産の状況や計画の進捗に合わせて、定期的に確認と見直しを行います。

●ゴールの設定例
目標 庭付き2階建てのマイホーム購入の頭金を用意する 子どもの文系私立大学の教育資金を用意する
目標達成時期 5年後 15~18年後
●資金計画の立案例
必要資金 200万円 15年後から初年度は150万円
大学2~4年目まで年間130万円
計540万円
●資産形成方法の選定例
毎月の積立額 3.5万円 2.5万円
金融商品の選定 目標達成時期が5年後のため、
元本保証のある金融商品
新NISA制度を利用し投資信託で運用

キャッシュフロー表の作成も効果的

 毎月の貯蓄額を増やすためには、支出の見直しが必要です。個々の支出が「ニーズ(必要なもの)」なのか、「ウォンツ(欲しいもの)」なのかを考える習慣をつけることで、優先順位をつけてお金を使えるようになり、結果として、貯蓄額を増やすことができます。また、趣味や得意なことを生かして副業で収入を増やすことも有効です。
 さらに、年間収支や将来の資産残高の推移が可視化できるキャッシュフロー表を作成すると、このままの家計でゴールが実現できるのか、家計は赤字にならないかなど、様々なことがわかります。お金の使い方を客観的に把握することは、資産形成においても賢い選択ができることにつながります。

まとめ

 ゴールベース資産管理における資産形成は、ゴールに向けた計画の一環であり、具体的にいつまでに、いくら必要かを設定することで、より真剣に向き合うことができます。
 キャッシュフロー表を生かして計画的に資産形成を行い、ゴールの実現に向けて第一歩を踏み出しましょう。

  • ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
  • ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフです。本コラムは執筆者個人の見解を掲載したものであり、当協会としての意見・方針等を示すものではありません。

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