ミニコラム:FPと考える”家計戦略”
知っておきたいファイナンシャル・プランニングの基本を、お金について学んでいる金子さんがFPから教わるミニコラムです。ライフステージに合わせて、人生100年時代の観点から「戦略」を考えていきます。
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贈与の特例を活用する
Q:親からの援助が非課税になる?
両親に住宅購入の悩みを話したら、「マイホーム資金の援助なら、贈与の特例が受けられるわね」と母親が一言。一体どんな制度なのか教えてほしいと、金子さんがFPの元にやって来ました。
金子さんとは?
出版社勤務の30代。社内異動でこの春から経済誌担当になったもののお金のことはさっぱり…。「人生100年」や「老後資金2,000万円不足問題」をキーワードに取材を重ねる中、自身のお金の知識に不安を感じるように。FPにレクチャーを受けながら、目下お金の勉強中。
子どもの進学や住宅購入など様々なライフイベントが控えている子育て世代にとって、その資金をどう準備するのかは大きな課題です。
目的ごとに積立をするなど計画的な資金準備はもちろん必要ですが、もし両親や祖父母にゆとりがあるようであれば、その資金を援助してもらうことも手立てのひとつとして考えることができます。そこで、資金援助を受ける際に活用できる、3つの「贈与の特例」について解説します。
3つの「贈与の特例」
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1.
暦年課税制度(暦年贈与)
「暦年課税」とは贈与税の課税方法のひとつです。暦年(1月1日~12月31日)の贈与額に応じて課税されるもので、基礎控除額110万円以下の金額であれば毎年非課税で援助を受けられます。
注意したい点は、毎年定期的で同額の援助だと「まとまった額を分割で貰った」とみなされ贈与税の対象になる可能性があること。時期や金額を年毎に変え都度領収証を渡す、毎年贈与契約書を結んでおく、といった対策が必要です。 -
◎
贈与税額=(暦年の贈与財産の合計額-基礎控除額110万円)×税率-控除額
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2.
相続時精算課税制度
相続時精算課税とは、贈与税のもうひとつの課税方法。援助を受けた時に贈与税で仮払いし、援助した方が亡くなった時に相続税と精算します。
特別控除額の2,500万円までは贈与税がかからないので、まとまった額の資金援助を望む場合に向いています。しかし、この制度は一度選択すると撤回できず、援助をしてくれた方との暦年贈与は二度と利用できなくなるため、注意しましょう。 -
◎
贈与税額=(暦年の贈与財産の価額合計額-特別控除額2,500万円)×税率(20%)
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3.
一括贈与の非課税制度
前出の2つの制度と併用して、援助を受ける目的に応じた3つの特例を活用することもできます。
非課税枠 適用期限 住宅取得資金 1,500万円または1,000万円
※住宅の条件による2021年12月末 教育資金 1,500万円 2023年3月末 結婚・子育て資金 1,000万円 2023年3月末 ただし、援助額を使い切らずに残すとその残額は贈与税の課税対象となること、教育資金と結婚・子育て資金においては使い切る前に援助者が亡くなると残額は相続財産に加算されること、といった注意点があります。
詳細は国税庁のホームページで確認してみてください。
※2021年度税制改正大綱をもとにしています。
制度の要件を確認し、適切に活用する
家計に重くのしかかる教育資金や住宅資金を手助けしてもらうとはいえ、両親や祖父母も人生100年時代の中で老後資金を工面しながらの支援になります。
3つの制度にはそれぞれ細かい適用要件が設けられていますので、自分たちの条件に照らし合わせて何が活用できるのかをしっかり確認したうえで、親世代とあわせた無理のない資金プランを立てることが大事です。
こうした贈与の特例を適切に組み合わせて活用することも子育て時期を乗り切る戦略となるのではないでしょうか。
- ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
- ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフです。本コラムは執筆者個人の見解を掲載したものであり、当協会としての意見・方針等を示すものではありません。