ミニコラム:FPと考える”家計戦略”

知っておきたいファイナンシャル・プランニングの基本を、お金について学んでいる金子さんがFPから教わるミニコラムです。ライフステージに合わせて、人生100年時代の観点から「戦略」を考えていきます。
毎月第3金曜日に更新中!

2021年1月号
CFP®認定者 大湯 琴音

住まい

Q:マイホームは購入と賃貸、どちらがお得?
 周りでマイホームを取得したという話がちらほら聞こえる今日この頃。うちの場合はどうしようかなと頭に浮かんだ金子さん。でも、マイホームを買うのと賃貸に住み続けること、どちらがいいのだろう?

金子さんとは?
出版社勤務の30代。社内異動でこの春から経済誌担当になったもののお金のことはさっぱり…。「人生100年」や「老後資金2,000万円不足問題」をキーワードに取材を重ねる中、自身のお金の知識に不安を感じるように。FPにレクチャーを受けながら、目下お金の勉強中。

 住宅購入が気になる方からの相談では「住宅は購入と賃貸どちらが得か?」という定番のテーマがあります。購入を意識したものの、具体的な住宅ローンの月々の返済額や返済期間の長さを知って「長期間こんなに払えるだろうか」と途端に不安を感じる方もいます。どちらもメリット・デメリットがありますので、それぞれのポイントを見てみましょう。

持ち家のメリット・デメリット

 メリットは、生涯住む場所ができることで安心感が得られ、リフォームも自由にできること。また、資産にもなるため、住まなくなった場合は人に貸すことも可能です。立地などの環境にもよりますが老後に年金収入だけでは不安になってきたら、住み続けながら家と土地を担保にして借り入れをする「リバースモーゲージ」という制度を利用できる場合があります。住んでいる間は利息だけを支払い、家の所有者と配偶者が亡くなると家と土地が売却され残債の返済に充てられる仕組みです。
 デメリットには初期費用や月々のローン返済だけでなく、固定資産税や賃貸よりも高い火災保険料等の維持費がかかり、メリットであるリフォームもある程度の費用が必要になります。また、住み替えるために売却しようにも希望する金額で売れるとは限らないことも要注意です。
 住宅も新築か中古かで取得価格が、マンションか戸建てかで維持費が大きく変わるため、そこも踏まえて検討しなければなりません。

賃貸のメリット・デメリット

 大きいメリットは住宅購入のようにまとまった金額がなくても良いことです。子育て中は広いところ、子どもが一人暮らしを始めたら夫婦ふたりで十分な広さや希望の地域へ……とライフスタイルの変化に合わせたり、災害に遭遇した場合などに住み替えることが比較的容易です。
 デメリットは、支払った家賃は資産として残らず、基本的には自由にリフォームもできません。また、更新費用や、転居時にかかる退去費用、引っ越し代等も準備する必要があります。さらには高齢になってからの住み替えは難しいことがあり、場合によっては高齢者向けの住宅等の介護施設への入居も念頭に置いて資金を蓄えなければならないでしょう。

個別に検討が必要

 このようにどちらにもメリット・デメリットがあり、どちらが得と一概には言えず、ライフプランや家族構成、持ち家の資産価値など多様な要素も加味し比較することが必要です。また、金額に換算できない安心感等も重要な要素となります。
 住まいを変えたいと思ったら購入前にキャッシュフロー表を作るのはもちろん、購入後も都度更新して将来の見通しを立てるとよいでしょう。
 自分で作るのが難しい、収入に見合った住宅ローンや賃料がわからないといった場合はCFP認定者検索システムから不動産に強いFPに相談し、第三者の意見を参考にするのもよいでしょう。
 購入にせよ賃貸にせよ、心理的な負担にならないよう、後悔のない納得のいく選択肢を選べるようにしっかり検討することが重要です。

  • ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
  • ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフです。本コラムは執筆者個人の見解を掲載したものであり、当協会としての意見・方針等を示すものではありません。
上へ