ミニコラム:FPと考える”家計戦略”

知っておきたいファイナンシャル・プランニングの基本を、お金について学んでいる金子さんがFPから教わるミニコラムです。ライフステージに合わせて、人生100年時代の観点から「戦略」を考えていきます。
毎月第3金曜日に更新中!

2020年11月号
CFP®認定者 小柳 祥子

子どもが生まれると必要なこと

Q:家族が増えたら必要なお金も変わる?
 友人家族に子どもが生まれ、お祝いにきた金子さん。幸せムードの一方、これからは出費もかさんでいくよね、とため息まじりの一言が。思いあぐねるよりもどうすればいいかを知っておくべき、と子育ての中で必要なお金についてFPに質問をしたところ、3つのポイントを挙げてもらいました。

金子さんとは?
出版社勤務の30代。社内異動でこの春から経済誌担当になったもののお金のことはさっぱり…。「人生100年」や「老後資金2,000万円不足問題」をキーワードに取材を重ねる中、自身のお金の知識に不安を感じるように。FPにレクチャーを受けながら、目下お金の勉強中。

 出産後は育児で手一杯の家庭も多いと思いますが、増えるのは育児だけではありません。同時に生活費や教育費など家計の負担も増え、それは子どもが独立するまでずっと続きます。長い子育て期間を乗り切るために、家計に必要なことについて考えてみましょう。

万が一の場合に備える!!

 夫婦どちらかに万が一のことがあった場合、残された家族が生活に困らないよう、貯蓄で足りない分は保険で備えましょう。ポイントは、目的に合った保険に必要な保障額で加入することです。
 亡くなった際に受け取れる保険には、終身保険、定期保険、収入保障保険などがあり、解約返戻金の有無、保険料や保険期間、受け取り方法が異なります。また、病気やけがで働けなくなった場合に備える就業不能保険もあります。
 必要保障額は、遺族の生活費や教育費などの「万が一のときに必要な金額」から「万が一のときの遺族収入と現在の貯蓄額」を差し引いた金額が目安です。「遺族収入」には、遺族年金や死亡退職金なども含まれるため、事前に調べておくとよいでしょう。

教育費に備える!!

 教育費は人生の三大資金の一つといわれ、大学まですべて公立でも1,000万円近くかかります。そのため、教育方針について話し合い、早くから計画的に準備することが大切です。特に大学の授業料のようなまとまった金額で日常の家計から捻出できないものは、必要な時期までに確保したいものです。
 いつまでにいくら貯めるのかを明確にし、定期的に専用口座に貯蓄する、学資保険に加入するほか、一部を「つみたてNISA」などの低リスク商品で積立運用するなど、各家庭に合った方法で準備していきましょう。

社会復帰や支出増に備える!!

 社会復帰や収入を増やしたいと考えている場合、スキルアップも必要となります。
 雇用保険には、資格取得のための対象講座の学費の一部を支給する「教育訓練給付制度」があります。離職者の場合、雇用保険の被保険者期間が1年以上(初回のみ)、受講開始日が離職後1年以内であることが支給要件ですが、出産・育児で離職した場合、申請すれば離職後20年以内に延長されます。通信講座やeラーニングなど自宅で受講できる講座もあります。
 収入を増やしたい場合には社会復帰の前にも出費がかさむ可能性があることを踏まえ、興味のある方は時間を見つけてこちらも準備できるとよいでしょう。
厚生労働省「教育訓練給付制度」

 出産は家計を見直す絶好のチャンスです。もし、教育費や必要保障額などの計算方法が分からない場合、日本FP協会のホームページでも情報を提供しています。また、ファイナンシャル・プランナーへの個別相談も検討してみるとよいでしょう。

  • ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
  • ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフです。本コラムは執筆者個人の見解を掲載したものであり、当協会としての意見・方針等を示すものではありません。
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