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2024年8月号(1)
ライフプラン
CFP®認定者 山本 美紀

ストレスフリーな教育資金準備

 子育て世代にとって、1番多いお金の悩みは教育資金ではないでしょうか。教育資金は、近年増加の一途をたどり、幼稚園から大学までの教育資金を合計すると驚くほど大きな金額になります。一方、教育資金は一度に必要になるわけではありません。子どもが誕生した時点で教育資金が必要になるタイミングが見込めるため、考え方次第では「計画的に準備しやすい費用」ともいえます。今回は、教育資金を無理なく、計画的に準備するポイントをお伝えします。

児童手当は将来の教育資金へ

 教育資金の準備には児童手当を活用しましょう。児童手当は、子どもが誕生したら居住地の市区町村に申請することで支給されます。2024年10月分より、所得制限の撤廃や高校生年代(18歳到達後の最初の年度末)までの支給期間の延長、第3子以降の月額手当の増額など、更なる制度拡充が図られ、より教育資金の準備として活用しやすくなります。児童手当の受取口座は、生活費用の口座とは別の口座に設定することで着実に貯められます。例えば、2024年10月に誕生した第1子の児童手当を使わずに貯め続ければ、18歳時点で約230万円となり、大学の入学金や授業料などに充てることができます。

教育資金の目標金額を決めて計画的に準備を

 「子どもがどのような道を歩むのかわからないから、いくら準備すればいいのかわからない」というご相談をよく受けます。確かに、子どもの進学プランでかかる費用は大きく変わります。例えば、公立に行くのか、私立に行くのかなどです。教育資金の目安を把握し、目標金額を決めることで、資金計画を立て行動に移すことができます。
 また、一般的に教育資金は、中学を卒業するまでは資金面の負担が少ないですが、高校入学以降、負担が増加傾向となります。つまり、子どもが中学生くらいまでは教育資金の貯め時ともいえます。日々の生活費や、今後の老後資金などとのバランスも考えながら、いつまでに、いくら準備するのか目標金額を決めて計画的に準備していきましょう。バランスを考える際のツールとして、キャッシュフロー表を作成するのも有効です。

時間を味方につける

 教育資金は、子どもが産まれたらすぐに、コツコツ積み立てる仕組みを作ってしまうのがポイントです。目標金額から月々の積立額を割り出し、銀行の自動積立商品や、勤務先の財形貯蓄制度、学資保険などを活用して強制的に積み立てられる仕組みを作ると、着実に目標金額が貯められます。ただし、学資保険を活用する際には、満期保険金や解約の条件など、内容をよく確認したうえで活用するようにしましょう。
 また、準備期間が10年以上あるなら、新しいNISA制度などを活用し、資金の一部を運用して増やすことも1つの方法です。注意点としては、教育資金が必要となったタイミングによっては、運用益がマイナスとなっている可能性もあるということです。定期的に運用状況をチェックし、ある程度増えた時点で現金化しておくことも選択肢として考えられます。

まとめ

 親として、わが子の夢をかなえてあげたい、好きな道を進ませてあげたいと考える人は多いと思います。教育資金を準備するうえで、子どもの興味のあることや希望に耳を傾けながら、進学プランやかかる費用を考えることが大切です。また、教育資金は長期にわたり見込んでおくことに加え、年齢が上がるほど、必要な金額も増えていく傾向にあります。万一、目標金額に届かない場合は、奨学金や教育ローンを利用するという方法もありますが、できる限り早いうちから計画的に準備を始めていくことがお勧めです。

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