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2024年度税制改正のポイント
~定額減税・子育て世帯等への支援措置~
2023年12月に「令和6年度税制改正大綱」が公表されました。今回は、その中から多くの人に影響がある所得税・個人住民税の定額減税と子育て世帯等に対する支援措置について解説します。
所得税・個人住民税の定額減税
賃金上昇が物価高に追い付いていない状況から、負担緩和の一時的な措置として、2024年分の所得税および2024年度分の個人住民税について定額による税額の特別控除(定額減税)が実施されます。
定額減税は、給与所得者、公的年金等の受給者、事業所得者等の立場に応じて控除の実施方法は異なりますが、対象者および特別控除額は同じです(所得税や住民税非課税世帯などの低所得者世帯については各給付措置が実施されます)。今回は、その中でも該当者の多い給与所得者の概要を以下に記載します。公的年金等の受給者、事業所得者等の場合などの定額減税については、国税庁の「定額減税特設サイト」や総務省の「個人住民税における定額減税について」などをご確認ください。
【概要:給与所得者のケース】
対象者 | 所得税 | 2024年分の合計所得金額1,805万円 (給与収入2,000万円相当)以下である国内居住者 |
個人住民税 | 2024年度分の合計所得金額1,805万円 (給与収入2,000万円相当)以下である国内居住者 |
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定額減税額 (特別控除額) |
所得税 | (本人+同一生計配偶者および扶養親族)×3万円 |
個人住民税 | (本人+控除対象配偶者※1および扶養親族)×1万円 | |
実施方法 ※2 |
所得税 | ① 2024年6月1日以後最初に支払われる給与等(賞与を含む)に対する源泉徴収税額から控除する。 ② ①で控除しきれない金額がある場合、その金額は、以後2024年中に支払われる給与等に対する源泉徴収税額から順次控除する。 |
個人住民税 (特別徴収) |
2024年6月分の給与支給時に徴収は行わず、定額減税額を控除した後の個人住民税額が2024年7月分から2025年5月分の11カ月間でならされ、毎月徴収される。 |
※1)控除対象配偶者以外の同一生計配偶者については、2025年度分の個人住民税において控除される。
※2)2024年分の所得税額から定額減税額を控除しきれないと見込まれる場合は市区町村から給付される。対象者には、給付手続きについて市区町村から案内される予定。
子育て世帯等に対する支援措置
急激な住宅価格の上昇や子育て世帯等の居住環境改善の観点から、子育て世帯および若者夫婦世帯を対象に住宅ローン控除および住宅リフォーム控除の拡充が盛り込まれました。主な改正点は以下のとおりです。
(1)住宅ローン控除の拡充
2024年以降に住宅等の新築物件等を取得し居住する場合、借入限度額が、前年に居住する場合と比べて500~1,000万円縮小されましたが、子育て特例対象個人(本人もしくは配偶者のいずれかが39歳以下の人または18歳以下の扶養親族を有する人)が、認定住宅等を新築等で取得し、2024年1月1日~12月末までの間に入居する場合には借入限度額に一定の上乗せを行います。
また、合計所得金額1,000万円以下の人が取得する新築住宅における床面積要件を40㎡以上に緩和する措置について、建築確認の期限が2024年12月末まで延長されました。
【2024年中に入居する場合の借入限度額】
住宅の区分 | 認定住宅 | ZEH水準 省エネ住宅 |
省エネ基準 適合住宅 |
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子育て特例対象個人の借入限度額 | 改正前 | 4,500万円 | 3,500万円 | 3,000万円 |
改正後 | 5,000万円 | 4,500万円 | 4,000万円 |
※東日本大震災の被災者等の場合は借入限度額が異なる
(2)住宅リフォーム控除の拡充
既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除の対象工事に「一定の子育て対応改修工事」が追加されました。具体的には、子育て特例対象個人の所有する居住用の家屋に転落防止の手すりを設置するなどのリフォームを行い、2024年4月1日~12月末までに入居した場合に、その工事に係る標準的な工事費用相当額(250万円を限度)の10%に相当する金額がその年分の所得税額から控除されます。
まとめ
2024年度の税制改正は、賃上げ促進税制や定額減税によるデフレ脱却に向けた取り組みに加え、異次元の少子化対策として、子育て世帯を支援する税制措置が創設されたことが印象的でした。税金は、私たちの生活に密接に関係しており、家計に影響を与えることも多くあります。メディアやWebサイトなどから情報収集をして概要を把握するようにしましょう。
- ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
- ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフであり、コラムは執筆者個人の見解で執筆したものです。