海外FP組織からの情報発信
国際CFP®組織FPSBやFPSBメンバー組織等、海外FP組織の活動や発信するニュース等を不定期で紹介しています。
AIがファイナンシャル・プランニングに変革をもたらす
国際CFP®組織FPSB(Financial Planning Standards Board, Ltd.)は、人工知能(AI)が急速に有益なツールになっている中、ファイナンシャル・プランニングにおけるAIの利用と影響に関して実施したグローバル調査の結果を発表しました。調査結果では、3人に2人のファイナンシャル・プランナーが、自社で今後12カ月以内にAIを利用する、または利用を計画していると回答しています。
グローバル調査は、国際CFP®組織FPSBが加盟組織24カ国・地域の6,200人以上のファイナンシャル・プランナーを対象に実施しました。
調査の結果、AIの普及は進んでおり、ファイナンシャル・プランナーはAIを利用して顧客のデータの収集、顧客のリスク分析、コミュニケーションを合理化していることが明らかになりました。回答者は概して、ファイナンシャル・プランニングのアドバイスの質を高め、費用を削減し、十分なサービスを受けていない人々のファイナンシャル・プランニングへのアクセスを広げるAIの可能性について前向きに受け止めています。ただし、データのプライバシーとサイバーセキュリティを最重要リスクとして挙げ、AIの利用に伴うリスクも認識しています。
FPSBのCEOダンテ・デ・ゴリ氏(CFP®認定者)は、「ファイナンシャル・プランナーは、AIのコスト削減の可能性を認識し、AIが十分にサービスを受けていないコミュニティへのアクセスを拡大し、ファイナンシャル・アドバイスがより身近なものになると考えています。このテクノロジーはファイナンシャル・プランニングの実務を再構築するだけでなく、重要な金融サービスへ従来アクセスしてこなかった人々にも門戸を開く可能性があります。」と述べています。
FPSBのグローバル調査「AIがファイナンシャル・プランニングに与える影響」の主要なポイントは以下のとおりです。
顧客サービスの改善
ファイナンシャル・プランナーの4分の3以上(78%)が、AIは顧客により良いサービスを提供すると考えており、60%が、AIはファイナンシャル・アドバイスの質を高めると考えています。
AIの幅広い導入
3分の2のファイナンシャル・プランナーが、自社ですでにAIを活用しているか、今後12カ月間にAIを活用することを計画しています。活用している割合は小規模な会社または大規模な会社で最も高くなっています。ファイナンシャル・プランナーの50%がAIについて肯定的な見通しである一方、否定的な見通しはわずか8%でした。
費用の削減とアクセスの拡大
ファイナンシャル・プランナーの59%が、AIをファイナンシャル・プランニングの費用削減を支援する手段と考えており、60%が、十分なサービスを受けていない人々のファイナンシャル・プランニングへのアクセスを拡大すると考えています。
ファイナンシャル・プランニングにおけるAIの利用
AIを利用するファイナンシャル・プランナーのほぼ半数が、顧客とのコミュニケーション(41%)、顧客データの収集(33%)、顧客のリスク分析(30%)などの顧客サービスの提供を支援するためにAIを導入しています。3人に1人が、例えば、マーケティングやプロモーション(35%)、顧客導入プロセス(34%)などでAIを活用して業務の効率化を図っています。
AIへの懸念
利点はあるものの、ファイナンシャル・プランナーはAIの利用について懸念を示しています。47%がデータのプライバシーとサイバーセキュリティに関する懸念を、42%がAIの出力するデータの正確性と信頼性に関する懸念を挙げました。
専門的な能力開発の必要性
AIの利用を改善するために、ファイナンシャル・プランナーの49%が、データ解析・解釈能力を向上させるための専門的な能力開発の必要性を表明しました。3分の1以上(36%)は、生活者とファイナンシャル・プランニング専門職の双方が、AIに関する全般的な教育訓練から大きな恩恵を受けると考えています。
また、ダンテ・デ・ゴリ氏は、「ファイナンシャル・プランナーがAIをより賢く利用するにつれ、財務上の意思決定に影響を与える困難な会話を乗り越え、人生の目標を達成するために明確さと支援を提供するなど、顧客とより深い関係を築くために、より多くの時間をかけることができるようになりました。この調査結果で、世界中のファイナンシャル・プランニング専門家がどのようにAIを活用して競争力を維持し、業務効率を向上させ、顧客により良いサービスを提供しているかという貴重な概要がわかります。」と付け加えました。
FPSBのグローバル調査「AIがファイナンシャル・プランニングに与える影響」の結果の詳細については、こちらのレポートと画像を参照してください(英文)。
♦ FPSBのグローバル調査「AIがファイナンシャル・プランニングに与える影響」について
本調査は、ファイナンシャル・プランニングにおけるAIの利用と影響を調査するために、FPSBとその加盟組織によって、2024年11月から12月にかけて6,206人のファイナンシャル・プランナーを対象にオンラインで実施されました。回答者には、オーストラリア、オーストリア、ブラジル、カナダ、中国、台湾、フランス、ドイツ、香港、インド、インドネシア、アイルランド、イタリア、日本、マレーシア、オランダ、ニュージーランド、韓国、シンガポール、南アフリカ、スイス、タイ、イギリスおよび米国の24カ国・地域のCFP®認定者およびその他のファイナンシャル・プランナーが含まれています。
[出典:2025年5月7日 FPSB News Release]
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